膝痛に効果的な治療は?ヒアルロン酸注射や他の治療について
- By: Kotsuban_anesis
- カテゴリー: 膝痛
膝痛の治療ではヒアルロン酸注射が広く使われています。ヒアルロン酸注射は膝痛の緩和が期待できる治療法ですが、膝痛を治すためのものではありません。
それでは、どうしてヒアルロン酸注射を使うのでしょうか?
ここでは、膝痛の治療によく使われるヒアルロン酸注射とはどのようなものなのか、ヒアルロン酸注射以外の治療法にはどのようなものがあるかをご説明いたします。
(1)膝痛の初期治療に使われるヒアルロン酸注射について
膝痛の症状が現れる病気に「変形性膝関節症」や「関節リウマチ」があります。ヒアルロン酸注射はこれらの病気による膝痛の治療に用いることが多いものです。
まずは、ヒアルロン酸注射とはどのようなものか、一般的な治療の回数や頻度、効果の持続期間、メリットやデメリットなどをみていきましょう。
ヒアルロン酸注射とはどんなもの?
ヒアルロン酸注射とは、ヒアルロン酸を関節に注射することで関節の痛みを和らげ、関節の動きを滑らかにすることを目的とした治療法です。
ヒアルロン酸は本来、人の体の関節内に存在する成分で、関節内の空洞を満たしている滑液(かつえき)の中に多く含まれています。そして、ヒアルロン酸は関節を滑らかに動かすための潤滑油、衝撃を和らげるためのクッション材としての役割を担っています。
関節にとって必要不可欠なヒアルロン酸ですが、加齢によって減少していきます。そしてヒアルロン酸の減少は、衝撃による関節への負担を増やし、動きを鈍くしてしまいます。その結果として痛みを引き起こす原因に結びついてしまうのです。
ヒアルロン酸注射による治療がおすすめの人は?
ヒアルロン酸注射による治療は主に関節痛に有効とされています。具体的には次のような方におすすめできる治療法です。
・膝が痛くなり始めた方
・関節を動かし始めたときに痛みを感じる方
・早く関節の痛みを緩和したい方
・変形性膝関節症や関節リウマチによる関節痛の方
ヒアルロン酸注射は、症状がひどくなってしまった場合には効果が感じられないことがあります。その場合は別の治療法を検討する必要があるかもしれません。
ヒアルロン酸注射の回数や頻度
ヒアルロン酸注射による治療は1週間ごとに5回投与をおこない、その後は症状に応じて2~4週間ごとに1回投与を継続することが一般的です。
ヒアルロン酸注射を継続するか中断するかは医師の判断によります。症状が改善したときは5回投与しないこともありますし、痛みが強くなってしまった場合は別の治療法を検討することもあります。
ヒアルロン酸注射の効果持続期間
ヒアルロン酸注射の効果持続期間は、1回の投与でおおよそ1~2週間程度です。これは、関節にヒアルロン酸を補充することで痛みが軽減しても、補充したヒアルロン酸が徐々に体に吸収されることで効果が薄れてしまうためです。
ヒアルロン酸注射のメリット
ヒアルロン酸注射による治療のメリットをみていきましょう。
1つ目は、関節の負担軽減により痛みの緩和が期待できることです。ヒアルロン酸は衝撃を和らげるためのクッション材の役割があります。そのため、関節に投与することで関節の骨と軟骨がこすれることを防ぎ、関節の負担を軽減することで痛みを緩和することが期待できます。
2つ目は、効果が短時間で現れることです。これは、辛い痛みを何とかしたいという方には大きなメリットです。
3つ目は、ヒアルロン酸は副作用がほとんどないということです。治療で投与するヒアルロン酸は体内に存在するものに近い成分で作られています。そのため、ヒアルロン酸による大きな副作用はあまりみられません。ですが、注射することで痛みや腫れが現れる場合があります。
ヒアルロン酸注射のデメリット
次に、ヒアルロン酸注射による治療のデメリットをみていきましょう。
1つ目は、ヒアルロン酸注射の効果が一時的なものであるということです。ヒアルロン酸注射は基本的に痛みの緩和を目的としています。効果持続期間も1回の投与でおおよそ1~2週間程度と長くはありません。そのため、症状の改善には運動療法などの別の治療と合わせることで改善が期待できます。
2つ目は、長期間の投与で症状が進行してしまうと効果が感じられなくなってしまうことです。ヒアルロン酸注射は変形性膝関節症の初期治療によく使われますが、痛みが軽減したことで膝を酷使してしまうと症状が進行してしまう場合があります。このような場合はヒアルロン酸注射の効果が感じられなくなってしまうため、別の治療法の検討をおすすめします。
ヒアルロン酸注射の費用相場
ヒアルロン酸注射の費用は、保険が適用される保険診療か、保険が適用されない自由診療かどうかで大きく違います。
保険診療の場合は、75歳以上の方が1割負担で治療をおこなう場合には両膝への注射1回当たり1000円程度です。しかし、「変形性膝関節症」「肩関節周囲炎(五十肩)」「関節リウマチ」にのみ適用されます。
一方、自由診療の場合は制限がないため幅広く対応していただけます。しかし、費用は保険適用がないため全額自己負担です。
(2)膝痛でヒアルロン酸注射以外の治療は?
膝痛の治療法として、ヒアルロン酸注射以外にはどのようなものがあるかみていきましょう。
膝の痛みが強いときに使われるステロイド注射
膝の痛みが強いときにはステロイド注射を使い治療する場合があります。
ステロイド注射は抗炎症と鎮痛作用に優れたものです。そのため、ヒアルロン酸注射で膝痛が改善しない場合に検討されます。他にも、膝に水が溜まった状態(水腫)で、痛みがひどい場合にはステロイド注射によって痛みや炎症を抑えた後にヒアルロン酸注射で治療をおこなうこともあります。
ステロイド注射は1回の投与で2~4週間ほど効果が持続します。しかし、副作用のリスクが高いので注意が必要です。ステロイド注射は軟骨の新陳代謝を悪化させ、軟骨の損傷を誘発し、糖尿病のリスクを高める可能性があります。そのため、ステロイド注射は症状に応じて、必要最低限の使用をおすすめします。
新しい選択肢「バイオセラピー」による治療
ヒアルロン酸注射やステロイド注射によって症状が改善せず、生活に支障をきたしてしまうほど膝痛の症状が進行してしまうような場合、次の選択肢として手術療法が検討されることがあります。
しかし、手術というと体への負担も多く、精神的にも抵抗があるためすぐに決断することは難しいという方も多いのではないでしょうか。
手術に抵抗がある方に、バイオセラピー(再生医療)という選択肢をご紹介します。
バイオセラピー(再生医療)は近年になって登場した新しい治療法です。人が生まれながらにもつ自然治癒力を活かした治療法で、人の細胞や血液を活用して破損した組織を修復するというものです。
バイオセラピーは保険が適用されませんが、手術のような体への負担はなく1回の投与で大きな効果が期待できます。バイオセラピーによる治療にも種類(PRP療法、VFD療法など)があるため、新しい選択肢として検討してみてください。
さまざまな保存療法について
膝痛の治療では、症状が軽いときはヒアルロン酸注射のような保存療法を1つ、もしくは複数組み合わせて治療をすすめることが多いといえます。
保存療法には次のようなものがあります。
・薬物療法(ヒアルロン酸注射やステロイド注射、内服薬が含まれる)
・物理療法(鍼灸、低周波電気、マッサージなど)
・運動療法(ストレッチやウォーキングなど)
・装具療法(サポーターなどの装具を使用)
生活への支障が大きい場合は手術療法という選択肢も
膝痛の症状が重く、生活への支障が大きいような場合には手術療法を検討することがあります。代表的な手術には「骨切り術」や「人工関節置換術」があります。
「骨切り術」はすねの骨を切り、人工骨を挿入することで矯正する手術です。しっかりリハビリをすることで手術後にほとんど制限なく生活することができます。
「人工関節置換術」は関節を人工の部品に置き換える大掛かりな手術です。症状が非常に重い場合に検討されるもので、手術後にはスポーツなどに制限がつく可能性があります。
(3)膝痛は症状に合わせて治療を検討しましょう
膝痛は症状の進行状況によって治療法が変わります。症状が軽い初期はヒアルロン酸注射のような保存療法による治療が一般的です。しかし、ヒアルロン酸注射は症状の緩和を目的にしているため、症状の改善には運動療法など別の治療法と組み合わせると効果があがります。
もしも、症状が改善せずに重くなってしまった場合は手術療法やバイオセラピー(再生医療)といった他の治療法を検討することもあります。
膝痛の治療では、原因に対処して改善していく必要があり、それはヒアルロン酸注射や生活習慣の見直し、運動である場合も、バイオセラピー(再生医療)を併用する必要がある場合もあるかもしれません。しっかり膝痛の原因に対応するため専門家に相談し、自分に合った治療法を検討していくことが大切です。
膝に違和感があり、どのように対処すればいいかわからない。膝痛でヒアルロン酸注射を受けているが運動など別の治療法も取り入れたい。些細なことでも気になることがございましたらいつでもご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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